DoCoMo六甲高羽無線中継所
兵庫県神戸市灘区桜ケ丘町 撮影:2007年2月
六甲高羽局はかつて神戸市灘区内、見晴らしのいい高台に存在した変わり種の鉄塔です。
どう変わり種かというと、この鉄塔は短期に撤去される予定の仮鉄塔で
この後、マンション屋上に移ることになっていました。
六甲高羽局はもともと分譲マンションの屋上を間借りしていた携帯電話の基地局だったようです。
そのマンションが阪神大震災により被災、激しく損傷しました。
住民の多くは避難所生活を余儀なくされましたが、一部住民は全壊認定された傾いたマンションにそのまま居住。
マンション建て替えが検討されましたが、すでに居住している住民から費用面の問題など色々な理由で反対があり、
建て替え派と補修派に真っ二つに分かれ大揉めに揉めたようです。
仲の良かったご近所さんとも建て替えか補修かを巡って対立してしまう事態も起きたようです。
両者の対立は裁判闘争となり、最高裁まで行き、ついには建て替え派が勝利。
自然災害での共同住宅建て替え問題が法で裁かれる初の事例となりました。
マンションは更地から建て直すことになり、完成後に入居できたのは2008年。
この鉄塔に訪れた時が2007年で被災からすでに12年の歳月が経っていました。
既に元住民らの生活も変わっていたのでしょう、この間に所有権を手放す人達も出始め、
結局ここに引っ越したのは元住民の約1割だったそうです。
未曽有の大災害から起こった予期せぬ闘争劇に大きく人生を狂わされた方達の
人間模様がこの鉄塔の背景にあったのです。
この鉄塔の去就を見届けたわけではありませんが、新しくなったマンション住民のためになっていると信じます。
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