DoCoMo 那智無線中継所 

和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字口色川  撮影:2009年6月 

2009年に訪れた、私にとって大変思い入れのある電波塔です。

電波に特に詳しいわけでもない私がこのHPを立ち上げようと思った

キッカケになった電波塔でもあります。



 世界遺産熊野古道の近く、那智の滝で有名な那智大社の北西にある

その電波塔は深い山中に佇んでいます。



元はNTT資産だったと思いますが、道路案内にあるようにドコモが買い取ったのでしょうか。



野暮用で訪れた某所より撮影。

周辺にはいくつか電波塔があり、ここら一体が無線中継に有利な立地であることを示しています。

那智中継所の歴史は古く、昭和30年代に建てられたようです。

見ての通りアンテナ類は搭載されておりません。

さらにその翌月の7月に熊野古道へ野暮用にてついでに来た時の写真です。

雲がかかって、見ての通りこの距離からでも鉄塔が霞んでいます。

まだこの頃はHP開設の予定もなかったので、基地局の名盤も撮り忘れるほど抜けています。

回線構成を見ると新宮市や串本町、本宮町、田辺市などの電話回線を中継しています。

山だらけの和歌山県で是非とも必要だったのでしょう。



県内でのルートを見ると、NTT串本ビル〜那智、NTT新宮〜那智、NTT九重ビル〜那智、

NTT田辺ビル〜NTT槙山〜那智、NTT本宮〜吹越峠(反射板)〜那智

NTT田辺ビル〜NTT塩津〜NTT周参見〜NTT槙山〜那智〜NTT新宮などなど複数のルートがあった模様。

電話回線だけではなく内航用の無線などもあったようです。

 

こちらグーグルマップの航空写真。たくさんのパラボラアンテナが載っていますが、

いつの写真なんでしょう?Yahooの航空写真ではアンテナは失われています。



敷地内、鉄塔の南側に空き地らしきものがあります。ここにも40mほどの鉄塔があったようです。



さらに那智中継所の北西にも空き地。ここはまた別のNTT鉄塔がありました。

その名はNTT西那智無線中継所。こちらには内航無線などの用途のようです。

西那智無線中継所は後の昭和50年代に建てられ、先に旅立っていきました。



こちらが国土交通省の航空写真。西那智無線中継所がきちんとありますね。

那智無線中継所の二本目の鉄塔らしきものも何となく写ってそうですが、写真が荒くはっきりは分かりません。

※国土地理院 国土画像情報(1974〜78撮影)

足元に「顕彰之碑」を見つけました。フェンス向こうの敷地内のため上手く撮影できていません。

自宅にて写真整理をしているときに内容が分かったのですが、どうやら工事中に犠牲になった方を称えるための物のようです。



何も無い山中、山を切り開き、道路を整備し、ヘリで機材搬入を行うような所は作業における危険度も高くなります。

大規模で作業難度が上がるほど危険も増し、一人の犠牲者一人の怪我人も出さないというのは中々大変なようです。

石碑の劣化と、手前の草に焦点が当たるため上手く撮れていません。

「マイライン」「南紀ルート」「その礎となった殿井?二君」

「昭和三十?年七月五日」「後世に伝えます」らしき文言が確認できます。

今より技術力の落ちる約60年前、ここに電波塔を建造するのはどれほど大変だったのでしょう?

インフラ構築に尽力した先人達のお陰で今の我々の快適な暮らしがある事、

そして電波塔の存在意義が時代とともに薄れ撤去が進む中、

尊い犠牲が有ったこの電波塔もいずれ消え去るのだろうか、と考えたとき何とかして記録などを残したいと思い、

この翌年2010年に当HPを開設した次第です。
この局だけは何とか再訪したいもんです、大変ですが。


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